救急車



   いざとなると日本人の頭に思い浮かぶのは、119番と救急車。しかし、フィリピンにはこのような便利なシステムはない。救急車の手配の窓口は病院の救急室と考えた方が良い。有料での救急車を手配する会社はあるが、病院ごとのレベル較差の大きいフィリピンで、必ずしも自分の希望する病院に運ばれるとは限らない場合も出て来るからである。救急車はそれぞれの病院に所属し、そこから来る事が一般的なのでそれを利用する方が安全かもしれない。そして救急車は有料。お金を持っていないと利用できない。

   一般に救急車には看護婦が乗っていて初期治療にあたる。病院によっては医師が同乗して派遣される事もある。フィリピンでは日本と違い点滴その他かなりの治療行為が看護婦に許されている。医師は診断したり処方、指示するだけで、手術などの特殊なものを除いては、多くの治療手技を看護婦にまかせている部分も大きい。そして看護婦もこのような状況に対応できるようにトレーニングされると同時に、日本に比べると給料の面はさておいてかなり医師に近い専門職として評価されている。このため初期治療は看護婦で間に合う場合が多いと考えられる。しかし、最近のフィリピンは特に首都圏では渋滞等による道路交通事情などから、外傷などで動かすと危険な場合を除いては自家用車で直接最寄りの病院の救急室(Emergency Room ;ER)に行った方が良い場合が多いであろう。移送が危険そうに見える場合、初期治療を早くしなければ危ないと考えられる場合は病院から必要機材を運ばせるという意味で救急車の要請が必要になる。連絡のつく、かかりつけの医師が近所にいれば同時に連絡しておくと良い。この医師が現場に駆けつけて初期治療の指示を出すか、救急室で治療をするかなどを決定したり、救急室で必要になる専門医師の手配をすることが出来るからである。

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