病院の救急室



   病院の救急室は24時間体制でいつでも受け付けてくれる。大きな病院の救急室には救急の専門医と共に、独立専門開業医となるためにトレーニング中のレジデントの医師達が診断治療にあたる。通常は救急処置の必要な患者が押し掛けており待たされる事もしばしばである。その病院の救急車でなく、自家用車で駆けつけた場合は重症度により医師の判断で後回しにされたり、同じ程度だと順番待ちという事になる。不必要に腹をたててトラブルは起こさないようにしていただきたいものである。重症の場合は、まず医師に一目でも診てもらって重症度の判定をしてもらうように努力する事は有効である。信頼できる医師がその病院に登録している場合は、その医師にまず連絡をとってもらうとスムースに運ぶ場合が多いであろう。病院側で連絡方法を知っている場合もあり一度医師を指定して連絡がつくと、その医師自信が駆けつけたり、応援の担当専門医師などを手配したり、救急のレジデントや看護婦などに必要な指示をだしたりする事が出来るので救急診療がスムースに行く場合が多いようである。オープンシステムで、独立開業が許された医師もそのオフィスには治療器材や薬品を置いていないのが普通であるから、緊急の治療処置などが必要になれば、これらの救急室を利用する事になる。すでにかかりつけなどの医師が緊急と認めて依頼している患者が優先されるのは当然と考えて良いだろう。この病院の救急室は、重症度によって生命に危険のある患者を扱うクリティカル、軽い外科処置などをするアキュート、そして患者は重症感をもって受診するのであろうが、かかりつけの医師のオフィスが開いていなかったり、かかりつけ医師のいない患者が診察を頼むプライマリーケアに分かれているのが普通で、いわゆる病院直轄の総合外来を一手に引き受けるという性格を持つ。そして混雑して順番待ちになるのは、プライマリーケアの患者たちである。同じプライマリーでも子供は意外に重症化しやすいため、小児科患者をプライマリーから選別して、別枠で診察治療に当っている場合もある。いずれにしても、プライマリーでの対応が遅いからといって、本当に重症の場合を想定して心配するのは感心しない。このような感情と日本人は特別に分けてほしいという感情が働くのか、プライマリーで必要以上にフィリピン人医師たちとのトラブルを起こしている日本人患者をかなり見かけるのは残念である。

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