脱 水 |
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慢性の脱水に影響を受ける可能性のある状態には以下のようなものがある。
砂漠気候の場所では命に関わる水の重要性は理解され易いが、フィリピンのような水に恵まれた環境では見のがされ易いのかも知れない。しかし、熱帯のこの国の住人達は、小さいときから理屈抜きに最低でも一日コップ7ー8杯の水を飲むように教育されて実行している。さらに咽の渇きがいかに危険なものかを知っており、様々な習慣に取り入れているようである。街のスーパーマーケットでもデパートでも様々な形の日本の弁当箱を陳列するように様々な形の様々なデザインや色の水筒を売っている。子供達も訪問先で咽が渇けば他人の台所で水やジュースなどを要求してもしかられる事はない。ドライバーなども訪問先のどこででも遠慮せずに水を飲ませてもらう。長時間の外出には水のペットボトルや水筒などに入れた水を持って歩く。このように、注意深く見ていると多くの場面でフィリピン人達が脱水を防ぐために対策をこうじている事がわかる。亜寒帯や温帯に住む日本人にはこのような脱水を防ぐという習慣がなく、多くは「咽が渇いたとき」に水を飲むのが一般的である。この為に慢性的脱水になっている人が非常に多い。特に病気ではなくても、身体がだるい、慢性的に頭痛がする、皮膚がカサカサしている、汗をかきにくい、やや体温が高めといった症状は脱水だけででてくる。咽の渇きがなくても普段から十分な水分摂取を心掛ける事が大切である。コーヒーや日本茶などに含まれるカフェイン類は利尿作用があり、水分を強制的に出させて脱水を促進するのですすめられない。ビール等のアルコール類は、水分の吸収を促進して一時的に脱水を解消する作用はがあるが、同時に利尿作用も強くやはり結果的には脱水を促進するので注意が必要である。砂漠の熱帯気候に住む住人たちの中に生まれたイスラム教がアルコール類の摂取を国法としても宗教的に堅く禁じている事は有名であろう。フィリピンという高温環境で暮らしている国民がいかに水分の摂取を重要な事として生活の中に溶け込ませているのを見ていると、イスラム社会でのアルコールによる利尿作用への理解が容易に推測される。前の日の宴会で盛り上がったイスラムの民。砂漠で水がなくなり生き残ったのは前夜の宴会でアルコールを取らずに脱水をまぬがれていた人だけ。人々はアルコールの利尿作用など面倒くさい事は考えずにも、その危険への警告を神のおつげとして素直に従った結果なのではなかろうかという想像が膨らむ。
人間は定温動物と呼ばれ、正常に活動するためには約36度±1度の非常に狭い範囲に体温が保たれていなければならない。そのために外気温の変化に対して非常に巧妙な体温調節機能を有している。着衣の調節で体温を維持する能力の関与も大きいが、無意識に体温を下げるために働く機構も持っている。このような機構の一つに発汗がある。汗をかく事により皮膚から汗が蒸発して気化熱として熱を奪い体温を下げる。高温環境下では発汗量が非常に大きくなり、失われた量を補充出来ないと脱水がおこる。この脱水を防ぐために血液の濃さを関知して咽の渇きを感じさせて水分を取るように知らせたり、腎臓が不要物を処理して排出する際に水分の脱失を防ぐために老廃物の濃度の濃い尿を作ったりする機構が存在している。しかし、長期継続的に脱水の傾向が続くとこのような関知機構は慣れによって麻痺してしまい水分の不足を感じさせなくなってしまう。このようにして慢性の水分の摂取不足によって引き起こされるされる脱水状態は、血液の粘凋化によって起こる様々な病気の危険性を高める。さらに腎臓では長期間過剰に濃い尿を作る事を強いられる為に不要成分が水に溶ける限界を越えて結晶化してくる為におこる尿路結石等の危険性を高められる事になる。
このように、ありとあらゆる臓器に悪影響を与える可能性が出てくる。